以下の記事は、もともとNAVERまとめに書いた記事だったんですが、部分的に削除されてしまったので、こちらで書き直しました。どういう経緯で部分的に削除されることになたのかは良くわかりません。
「価格検索」という名前のアプリを公開していた。
「価格検索」を使うと楽天市場、ヤフオク、Googleショッピングなどの公式サイトを簡単に比較することができる。バーコードの読み取りなども可能で、ショッピング専用ブラウザとでもいうべきアプリ。
以前は、価格.comも利用することができた。(価格.comからは、まったくお金をもらっていない。)
iPhone版:
https://itunes.apple.com/jp/app/id567127945?mt=8
Android版:
https://play.google.com/store/apps/details?id=net.qpen.android.pricesearch
プログラムも、アイコンなどのデザインも、全部一人で頑張ってつくった。
カカクコムが、アプリの削除をアップル社に働きかけていた!
1.商標権侵害について
当社は、ウェブサイト「価格.com」( http://s.kakaku.com/ )を運営する株式会社であり、以下の登録商標を保有しております。
①登録第5481172号「価格.com」
②登録第5481173号「価格.com」(ロゴ)
本件アプリでは、画面下部に当社登録商標「価格.com」及び当社登録商標の一部である「価」マークが当社に無断で表示されており、このような表示は、当社商標権を侵害すると思料いたします。
2.利用規約違反について
「価格.comサイト利用規約」( http://s.kakaku.com/help/kiyaku_site.html )では、ウェブサイト「価格.com」の利用やアクセスについて、私的かつ非営利目的での利用に限定させていただいており、当社が事前に承諾した場合を除 き、営業活動その他の営利を目的とした利用またはそれに準ずる行為、そのための準備行為としての利用は固くお断りしております(価格.comサイト利用規 約第4条)。
本件アプリによるウェブサイト「価格.com」の利用は、当該利用規約に違反するものです。
3.以上のとおり、本件アプリは、当社の商標権を侵害し、かつ、「価格.comサイト利用規約」に違反するものですので、本件アプリを削除するなど、本件アプリを第三者が閲覧・ダウンロードできないような措置を講じていただきますよう、お願い申し上げます。
カカクコムの主張はメチャクチャ。これは不当な圧力だ!
これから説明するように、商標権の侵害も、利用規約違反も、まったくもってメチャクチャな主張だ。
商標権の侵害なんてしていない!
画面下部の「価格.com」という文字列は、カカクコムについて言及したものであって、アプリが商標として利用しているわけではない。だから、法的にまったく問題ない。
「価格.com」と紛らわしい名前のサービスを展開することは商標権の侵害にあたるが、価格.comのことを「価格.com」と呼ぶのは、商標権の侵害でも何でもないということだ。これは極めて当然のことであって、そうでなければ、ここで「価格.com」という文字を使うことでさえ商標権の侵害ということになってしまう。
「価」マークについては、そもそもカカクコムの商標ですらない。
画面下部のタブバーの表示が商標権侵害だと言われた。
利用規約違反なんてしていない!
カカクコムのウェブサイトにアクセスし利用するのは、アプリのユーザーであって、アプリの開発者ではない。
「価格検索」アプリは、価格.comのウェブページをそのまま表示するだけであって、ウェブブラウザとして機能している過ぎない。ブラウザがウェブページを表示することが利用規約違反であるとでもいうのだろうか?
奴らの狙いは何なのか?
カカクコムの主張が不当なものであることは明らかなのだが、なぜ彼らはこんなメチャクチャな主張をしたのだろうか?
株式会社カカクコムは、東証一部上場の、日本を代表するインターネット企業であり、「法務室」という法律関係の仕事を中心に行うと思われる部署も持っている。彼らが、基本的な法律知識を持っていないはずはない。すると、自分たちの主張が正当なものではないことを承知のうえで、あえてアプリの削除をアップル社に働きかけたのだろう。
アップル社が事情をよく分からないままアプリを削除するかもしれないとダメ元で試してみたのかもしれない。しかし、むしろ、アプリの削除申請を出すことで「価格検索」の開発者に圧力をかけることが目的だったのではないかと思われる。いずれにせよ、自分たちにとって都合の悪いアプリを潰すために手段を選ばなかったようだ。
なぜ奴らは「価格検索」アプリを敵視するのか?
「価格検索」アプリは、カカクコムの権利を侵害するようなものではない。では、なぜカカクコムは、このアプリを潰そうとしてきたのだろうか?
価格.comを、楽天市場やYahoo!ショッピングなどの他のサイトと比較されるのが嫌だったからだとしか考えられない。カカクコムは、自社のユーザーに他サイトを見て欲しくないのだ。ユーザーを囲い込んで情報を統制したいのだ。
僕に不当な圧力をかけて他社との競争を回避するという方法ではなく、魅力的なサービスを展開するという方法で、顧客を獲得することをカカクコムには目指してもらいたいものだ。
奴らの罠にハマってしまった。屈辱の提案。
カカクコムの主張は完全に不当なものなのだから、単にこれを突っぱねていれば良かったのだ。アップル社が彼らの主張を受け入れることはなかったと思うが、仮にアプリが削除されたとしても、将来の見込みの収益についての損害賠償訴訟を行う覚悟を決めておけば良かった。
しかし、アプリの削除をカカクコムが働きかけていることを知った直後は、僕にも多少の動揺があった。それで、価格.comへのリンクをアプリから削除する代わりに、アプリの削除請求を取り下げることをカカクコムに提案してしまった。
思えばバカな提案をしたものだ。こちらには何の非もないのに譲歩してしまったのだ。本来は、価格.comへのリンクを設置するもしないも、開発者である自分が独自の判断で決めて良いことだ。インターネットの黎明期にはたまに誤解されていたが、リンクを貼るのに相手の許可が必要なわけではない。
削除要請を取り下げさせた。だが敗北感が残る。
カカクコムは、提案を受け入れて、アプリの削除要請を取り下げた。アプリは生き残ることができたわけだが、彼らには無条件に削除要請を取り下げさせるべきだった。価格.comへのリンクの削除と引き換えにしてしまったのは、こちらの敗北だ。
もうじき行われるアップデートでiPhone版の「価格検索」では、価格.comが利用できなくなってしまう。(Android版については、何の合意もないので、そのまま放置することにした。)
個人の開発者だからといって舐めんなよ!
今回カカクコムが不当な圧力をかけてきたのは、個人のアプリ開発者を舐めているからではないだろうか。App Storeの開発者名には、僕の個人名が載っているので、個人のつくったアプリだということがバレバレなのだ。
ビジネスの世界は、えげつないものだ。実のところ、「価格検索」に対して不当な圧力をかけてきたのは、カカクコムが初めてではない。以前には、アマゾンジャパンも圧力をかけてきたことがある。アマゾンジャパンは、何の告知もなくこっそりと契約内容を変更するという違法行為にまで及んだだめ、東京地裁に提訴した。これはいま係争中だ。
個人の開発者を無力な存在だと侮って不当な方法で圧力かければ、倍返しを喰らうこともあるのだということを、大企業に理解させてやらねばなるまい。
僕の反省。理想を半ば忘れていた。
カカクコムやアマゾンジャパンからの圧力によって魅力を減じてしまった「価格検索」だが、そもそもは、「健全な競争を促す」という理想のもとに開発されたアプリであった。
複数のサイトを簡単に比較できれば、ユーザーは安く買い物をできるようになるし、優れたサービスを提供したところにユーザーが流れるようになる。これによって、オンラインショップは、健全な互いに切磋琢磨し、より良いサービスを提供するようになるはずだ。独占や囲い込みではなく、競争がより良い未来へとつながる道だという信念が僕にはある。
この理想を半ば忘れてしまっていたため、僕はリンクを削除するという提案を安易にしてしまったのだ。そして、ユーザーの方々に、大変なご迷惑をかけることになってしまった。もっと闘うべきであったと反省している。
なぜ僕はこんなにも腑抜けになってしまったのか?
僕は、最近「美人おみくじ」というアプリをリリースした。このアプリのための取材で、街で素人の美人さんに声をかけるのに忙しかったため、邪悪な企業との闘いにはあまり時間を費やしたくなかったのだ。しかしどうやら、女性に声をかけるのに夢中になるあまり、僕は腑抜けになってしまったようだ。情けないことだが、この際だから、「美人おみくじ」の宣伝をさせて欲しい。できればダウンロードして使って欲しい!iPhone版と、Android版の両方を用意してある!
それでも僕は今日も元気だ!
美人おみくじでは、街で見かけた美人さんに突然声をかけて、モデルになってもらっている。インタビューもして、彼女たちに夢や目標を語ってもらっている。男性だけじゃなく女性にもオススメできる、ポジティブで元気の出るアプリだ。
開発者である僕も元気をもらった!おかげで、カカクコムやアマゾンからの圧力にもかかわらず、僕は今日も元気だ!
美しい人は、美しい心を持っていて、憎しみを忘れさせてくれる。邪悪な企業ともっと闘うべきだったと僕は反省しているが、決して憎しみに取り憑かれてそう思っているわけではない。インターネットの未来のために悪を正すのだ、というくらいのつもりでいる。
iPhone版:美人おみくじ
Android版:美人おみくじ